もはや歴史的事象となってしまった新型ウイルス。
連日のように感染者が報じられ、感染対策だけでなく経済対策も日々打ち出されています。
世界中で「家から出るな」という命令や要請がなされているため、人々はウイルスの恐怖だけでなくストレスにも悩みを募らせています。
もちろん、経済的に困窮している人も数多く存在しています。
しかし、対策とは裏腹にウイルスも自軍の勢力を伸ばすために全力を注いでいるようです。
ウイルスが体内で変異した
4月13日、中国政府がビデオを通じて現在のウイルスの特性を発表しました。
その内容は「ウイルスがすでに変異していて、以前よりも感染力が強くなっている」とのこと。
この「感染力が強くなっている」というのは致死率がインフルエンザの20倍以上と示されています。
我々人間がウイルスを広めないための対策をしている傍らで、ウイルスたちも独自の進化を遂げて自らを強化しているようです。
変異パターンを特定
ウイルスが変異すると言っても、無限に方向性があるわけではありません。
イギリスの大学が、国際データベースに登録された160例の新型ウイルスの全遺伝子情報を解析しました。
大きく分けて3パターンに変異することが確認できており、このデータをもとにワクチンの開発が進められています。
新型ウイルスはもともとコウモリが保有しているウイルスだったことも判明しています。
中国ではコウモリも食べられているため、感染源としては有力視されています。
しかし、人に感染した時点のウイルスを解析すると、コウモリが持っていたものとは既に大きく変異していました。
さらに元々の感染力よりも強力になっていたため、過程を探るためには流行する以前の症例を見つけなければなりません。
一部では、コウモリと人との間に中間宿主がいるかも…?とも言われています。
ワクチンの開発について
この現状を終息させるにはワクチンしかない!と思っている人も多いのではないでしょうか?
WHOによると、現在世界で開発中の新型ウイルス用ワクチンは70種類あるそうです。
そう、70種類もあるのです。
新型ウイルス用のワクチンはおよそ1年~で完成すると言われていますが、普通、ワクチンはそんな短期間で完成する物ではありません。
では、実際にワクチンが完成するまでの過程を見ていきましょう。
基礎研究(2~3年)
素材の抽出や化学合成、バイオテクノロジーを駆使してワクチン(薬)の元となる化合物を作成。
この化合物が本当に病気に効果があるのかを調べたり、物質の化学構造を調べたりします。
非臨床試験(3~5年)
化合物の安全性や有効性を動物や人工細胞などを使用して確認します。
この段階で、化合物が体内でどのように吸収されて排泄されていくのかというプロセスもチェックします。
臨床試験(3~7年)
非臨床試験に合格した化合物が、実際に人に対して使用されます。この段階を治験と言います。
ちなみに治験は3段階に分かれており、健康な人や患者に使用して膨大なデータを集めます。
この時点で合格を貰えないものもたくさんあります。
承認申請と審査(1~2年)
臨床試験を合格したらすぐにワクチンとして使用できる!というわけではありません。
厚生労働省に承認を得る為に申請をしなければなりません。
1.医薬品医療機器総合機構に審査を依頼
2.薬事・食品衛生審議会の審議
3.厚生労働大臣が許可
ここまでの過程を経て初めて製造や販売をすることが出来るのです。
今回のように完全に新規のウイルスに対して薬を作成するとなると、本来であれば10年単位の時間がかかってしまうのです。
しかし、今回のウイルスは人類にとって大きな脅威となっているため、全世界の研究者などが協力しあっています。
2021年にはワクチンが完成するという情報が多く発信されているため、ワクチンを待つ私たちからすれば頼もしいと言えるでしょう。
難しい問題ですが、安全とスピードを両立して開発してもらいたいですね。